ずいぶんまえのこと。
その青年は一枚の絵の前で、もうかれこれ2時間近く立ちすくんでいた。
近づくと目がすこ~し潤んでいた。
彼が見ている絵は、荒波が岸壁に打ちつけている暗い色調の作品だった。
確か、イギリスだったか…
有名な外国の物故作家の描いたもの...
だったと思う。
大きな催事場の一角に彼は居た。
若い青年が200万もの作品が買えるとは到底思えない。
ただ…ほっとくわけにもいかず…
お声を掛けたのを覚えている。
そしたら…思いがけず、その青年の生い立ちをうかがうはめになった。
兄弟の多い青年は母親のお腹の中にいた。
毎晩のように両親が生活苦から子供をおろす話し合いをしていたことを、彼ははっきりと覚えていた。
そう…
彼がライトを浴びてお腹から出てくる瞬間まで…。
そんな事ってあるのだろうか…
と、その時は思った。
けど…その後
似たような体験をした人の話を聞くことがあり、ひどく納得したのを覚えている。
彼は幼い時からずっとずっと傷ついてきた。
生まれてきてよかったんだろうか…。
と…いつも自問自答してきたのだ。
そんな話を聞きながら
私も一緒にその絵画の前に立ち尽くした。
不思議なことに暗い荒波とは対照的に、左上の空の一部分からほんのすこし明るい光が感じられる。
希望を感じられるのだ。
ああ、この青年はこの光を見ていたに違いない。
私も涙があふれてきた。
生きていてくれて本当にありがとう。
これからもずっと、生きていてください。
…と
1枚の絵画との出会いが人生に影響を与えることはある。
そしてそれが
いい意味で影響を与えることを心より願うばかりだ。
今回開催中の遊遊展も2015年から数えて7回目を迎える。
そんなこんなで
日々の事に追われて自分を振り返る時間のない方も多い中
すこしでも作家さん達の想像力を形にするパワーに触れて頂き
人生リフレッシュして頂きたい。
今回の展示は、木彫りで動物たちの夢の国「ANIMAL KINGDOM」を制作している田代雄一さんの木彫作品。
とばっちとかなちよちゃんのキャラクターがと~てもかわゆい鳥羽雄介さんの作品。
そしてそして今回は県外から初めての作家さまの展示。
物語のような動植物を優しく柔らかいタッチで描く、くまたにたかしさんと
女性にしか描けない女性性を描く、奥さまの渡邊春菜さんのと~てもステキな作品を展示販売しています。
本日の作品
title : ペガサスに憧れたシマウマ
artist : 田代 雄一 / Yuichi Tashiro
遊ぶことは生きていくパワーを貰うこと。人は遊ぶことで成長していくはず。アートに触れることは、おもいきり遊び楽しむこと。今年、1回目となる2018遊遊展vol.1では、人気作家達の楽しい作品をご案内しています。作家達の想像力を形にする力は、時として人生に影響を与えてくれるかもしれません。この機会に「遊ぶ」ことの大切さと「笑顔」をお届けできたら幸いです。展示室1にて絶賛開催中
関連する展示会 |
2018遊遊展vol.1
日程 | 2018年5月22日(火)~5月27日(日) |
時間 | 11:00~20:00 ※最終日は17:00まで |
会場 | 展示室1 |
作家 | くまたにたかし 田代 雄一 鳥羽 雄介 渡邊 春菜 |