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東山魁夷×田中一村


随分前のこと、NHKの日曜美術館で田中一村が話題になっていた。

 

当時、そんな画家の存在すら知らなかった私は

たまたま旅行先で「東山魁夷×田中一村の二人展」を観覧する機会に恵まれた。

 

二人は東京藝大美術学部の前身である東京美術学校日本画科に入学した同期生。

 

 

東山魁夷は学生時代、同期生たちが華々しく脚光を浴びるなか

なかなか作品が評価されず苦しい時期があったそうな。

 

その後、戦争が始まり出兵

 

評価される作品の転機は…戦争だったのだ。

 

戦後、生きて絵筆を手にしたとき、彼は全ての大切な肉親を失っていたのだった…。

 

 

そう…

絶望のどん底から脚光を浴びた画家だったのだ。

 

 

東山魁夷の語る「絵を描くことは祈ること」といった言葉がとても重たい。

 

 

会場で初年~晩年までの展示を丁寧に観ながら

いつしか涙がとめどなく溢れてきた…。ウルウル

 

 

これほどまでに自分の内面に向き合い

 

年を重ねるごとに余分なものが削り取られて…

 

画面に浮かびあがる山、道、木々の一つ一つがなんと神々しいことか…。

 

本当に美しく輝いていました。

 

 

かたや田中一村は美術学校を父親の発病で2か月余りで退学。

 

その後、中央画壇に幾度となく出品するけど

作品は評価されなかったのだ。

 

子供の頃、南画を描けば神童とまで言われていたのにね…。

 

師とする者もいない彼は

50歳にして奄美の地にわたり大島紬の染色工で生計を立て

生涯をかけて自分自身が誇れる作品を描くことに情熱を注ぐことになるのだ。フムフム

 

会場で代表作の「アダンの木」を見た時は

心臓がバクバクして…ほんと、衝撃が走った。汗

 

 

日本画なのに南国の植物を描くことにも驚きがあったけど

そんなことではなく

対象を描く内面から湧き上がる作家の情熱がぐいぐい迫ってきて

作品の前で固まってしまった。コッチコッチ

 

 

そしてこれまた…

涙が溢れて溢れて…。ヨヨヨ涙

 

心の底から感動している自分が…。

 

 

あとから知ったことだけど

どうやら一村病というのがあるらしく…

私のように一撃で田中一村の虜になる人がいるのだそうだ…。ヤッパネ~

 

 

70手前で亡くなった一村を記録しようとしていた写真家は

田中一村の印象を「少年のように目が澄んでいた」と語っているらしい…。

 

 

二人は全く違う人生を歩んだけど…

 

最後は同じ景色を見ていたのかもしれないと…

 

そう…感じたのです。

 

 

そして不思議なことに今回のお話しには後日談がある。

 

昨年のこと、当店では初めて企画展示を県外作家様にお願いした。

 

その鹿児島の作家様から伺った話なのだが…

 

定年近くまで勤務していた新聞社の元同僚の記者が

熱心に、生前の田中一村を取材し新聞に連載していたというのだ。

 

そして、その新聞の連載を見ていたNHKが

田中一村を日曜美術館の番組で取り上げたというのだ。

 

そんなことで

全くの無名だった田中一村が世の中に知られるようになっていったという…。

 

だったのか…知らなかった…。ホーッ驚

 

 

そんなことで本日ご紹介するのは、温度変化に強い雪花ガラスになります。

 

ガラスの世界では、性質の異なるガラスを組み合わせることは

欠損を招くためタブーとされてきたのですが

そこから発想を転換し生まれたのが美しい雪花ガラスなのです。

 

どこか…一途に我が道を極めた生き様にも通じるのではないでしょうか…。

本日の作品

title : 雪花ガラス / フリーカップ

artist : 青木 耕生 / Kousei Aaoki

「雪花ガラス」は、軟らかいガラスの粉を丈夫な硬いガラスで挟み込んだ三層構造になっています。強度が異なるふたつのガラスは、冷めて固まる温度も違います。ガラスをゆっくりと冷やすと、真ん中に挟まれた軟らかいガラスの層に細かな亀裂が生まれ約半年から3年ほど掛けて変化し、まるで雪の花のような模様が少しづつ増えていきます。空気が澄んだ冬の日などには、模様が入る音が「キンッ」と聞こえることもあり、目と耳でガラスの成長過程を楽しむことが出来ます♥展示室2にて展示販売中!

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